2005年04月24日

一日江戸人 / 杉浦日向子 [書評]

一日江戸人一日江戸人
杉浦日向子

文庫本, 新潮社, 2005/03

 肩の凝らない軽妙なおしゃべりやエッセイ、そして楽しいイラストで、江戸庶民のさまざまな文化や風習を紹介する江戸風俗研究家、杉浦日向子。本書もまた彼女ならではの、楽しく気軽に読める江戸の超実用的(?)ガイドブックの一冊である。

 ちょうど、かつてNHKで放送された『お江戸でござる』での解説のように、イラストをふんだんに盛り込んだコラムの形で、江戸の人びとの暮らしや嗜好を、一つひとつ面白おかしく紹介してゆく。江戸の市井の人びと、奇人変人、色男や美女を紹介した入門編。長屋での生活や夏冬の過ごし方を眺めた初級編。中級編では酒や食にまつわる話に相撲話、そして今でも江戸の気分を味わえる東京の散歩コースを紹介し、上級編では当時の庶民の旅の様子や、春画、意匠、洒落などを考察する。続きを読む
2005年04月17日

萌え萌えジャパン 二兆円市場の萌える構造 / 堀田純司 [書評]

萌え萌えジャパン 二兆円市場の萌える構造萌え萌えジャパン 二兆円市場の萌える構造
堀田純司

単行本, 講談社, 2005/04/01

 市場規模2兆円とも云われるキャラクター・エンターテインメントの世界。その原動力の一つが、「大きなお友だち」が非現実の美少女キャラクターに寄せる恋情にも似た思い、「萌え」である。堀田はこのつかみどころのない感情を、さまざまな情報を欠落させて存在するキャラクターの、その不足分を想像力によって補う『情報の脳内補完』と定義する。曰く、
キャラクターは人の心が生み出した存在であり、人の本能により忠実である。それゆえに現実の人物にはありえない魅力を放つ。キャラクターの現実を超えた魅力に打たれた人は、いても立ってもいられなくなり、そのキャラクターを欲するが、しかしキャラクターそのものに到達することは絶対にできない。このように虚構と実在との狭間、想像と現実の境界で自覚的にたゆたう行為こそが「萌え」であり、萌えることの楽しさなのである
と。

 その上で堀田は、メイドカフェ、抱き枕、等身大フィギュア、アイドル、美少女ゲーム、声優など「萌え」文化のさまざまな様相にスポットを当て、それぞれのコアなファンへの取材や送り手側へのロングインタビューを通して、キャラクター・ビジネスの業態やファンとの関係など、「萌え」の現場を浮き彫りにしてゆく。続きを読む
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。