2005年12月07日

ソーネチカ / リュドミラ・ウリツカヤ [読書日記]

ソーネチカソーネチカ
リュドミラ・ウリツカヤ
沼野恭子

単行本, 新潮社, 2002/12

 新潮クレスト・ブックスの一冊、リュドミラ・ウリツカヤの『ソーネチカ』を読んでいる。漏れ聞こえてくるところによると、彼女はロシア文学の王道を行くとでも云うべき作家らしい。確かにこの『ソーネチカ』もそういう匂いを濃密に漂わせた作品だ。なるほどそうした向きにはウケが良いらしく、Amazonのページの読者レビューにも、技巧を凝らした文学チックな文章が並んでいる。

 佐吉がこれまで好んで読んできた海外の作品には、シンプルな言葉、シンプルな文体を用いて情景を精緻に描き、そうすることで登場人物の心情を鮮明に浮かび上がらせる、というタイプのものが多かった。しかし、この作品は正反対。文章は、流麗ではあるが、一文一文が長く複雑で、これでもかとばかりに修飾語をかぶせ、隠喩もふんだんに使ったいかにも小説らしい文体。そのくせ描き方はひどく淡白で、まるで延々あらすじを読んでいるかのよう。続きを読む
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