2006年02月17日

江戸の怪奇譚−人はこんなにも恐ろしい / 氏家幹人 [読書日記]

江戸の怪奇譚−人はこんなにも恐ろしい江戸の怪奇譚−人はこんなにも恐ろしい
氏家幹人

単行本, 講談社, 2005/12

 読み終えたのは氏家幹人の『江戸の怪奇譚−人はこんなにも恐ろしい』。天狗、河童、神隠しなど、江戸の世の様々な怪異を、彼らしく、あくまで学術的なアプローチで、しかしながら一般の読者にもわかるよう平易に紹介した、彼曰く「学術書」である。「どうだ、怖いだろう」というのでもなく、またそれらの種明かしをしようというのでもない。この書は、そうした怪談の背景を探り、そこに潜む当時の人々の心の闇を映し出そうという、興味深い一冊である。

 我々のイメージの中ではしばしば「人情味あふれる」と形容される江戸の街にも、凶悪な、陰湿な、あるいは凄惨な「地獄」が潜んでいたことを、氏家はくっきり浮き彫りにする。ユニークな視点から、江戸の世の我々の知らない側面に光を当て、それをわかりやすく説き明かすというやり方は、彼ならではのものだ。ちなみに、最近朝日新聞かどこかの読書欄で紹介されていたらしいが、佐吉はそれを読んでいない。残念。続きを読む
2006年02月15日

だから山谷はやめられねぇ-「僕」が日雇い労働者だった180日 / 塚田努 [書評]

だから山谷はやめられねぇ-「僕」が日雇い労働者だった180日だから山谷はやめられねぇ-「僕」が日雇い労働者だった180日
塚田努

単行本, 幻冬舎, 2005/12

 ごく平凡な大学生活を送っていた著者は、卒業を控え、自分のやりたいこともはっきりしないまま企業に就職してしまうことに漠然と疑問を感じていた。そんな頃、彼はふとしたきっかけで日雇い労働者たちの生き方に興味を抱いた。社会のレールをはずれて生きる彼らは、日々何を思い、どう暮らしているのか。それを知ることで自らの将来についての疑問に何かしら答えが得られるかもしれないと考えた著者は、就職活動を放棄し、山谷のドヤ街に身を投じ、労働者たちと同じ生活を始める。本書は、その著者がドヤ街の男たちと寝食を共にした180日間の奮闘ぶりを綴ったノンフィクションである。

 その内容は、綿密な取材によって日雇い労働者の実態を描いたドキュメンタリーというのでなく、著者がじかに体験することによって知り得たことを記し、それを通して彼自身が考えたことを綴った、一人の若者の手記である。しかしそれゆえに、ドヤ街や飯場でその日その日を生きる男たちの生活が、彼らの体臭がにおってきそうなほど生々しく描かれており、また、著者自身の働くことに対する疑問や葛藤が率直に語られている。続きを読む
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