2006年04月21日

ダーク・タワーII 運命の三人〈下〉 / スティーヴン・キング [読書日記]

ダーク・タワーII 運命の三人〈下〉ダーク・タワーII 運命の三人〈下〉
スティーヴン・キング / Stephen King
風間賢二


文庫本, 新潮社, 2005/12

 歌舞伎の語源は「傾(かぶ)く」という動詞の連用形である。「傾く」とは、常軌を逸した身なりや振る舞いをすることを指す。歌舞伎は、出雲大社の巫女であったとも河原者であったとも伝えられる出雲阿国(いずものおくに)が、1603年、北野天満宮で興行した念仏踊りに端を発するとされ、以来、能や人形浄瑠璃(文楽)が武士や貴族のための高尚な芸能とされてきたのに対し、もっぱら庶民の娯楽として発展を遂げてきた。つまり歌舞伎はその歴史において、ひたすら観客のウケを取るためだけに様々な演出を生み出し、それをどんどんエスカレートさせてきた。そうして四百年の時が経過した現在、およそ舞台演出と呼ばれるもので、歌舞伎で試されたことのないものはない、とさえ云われている。

 そんなわけで(どんなわけだ?)、『ダーク・タワーII 運命の三人』下巻を読み終える。なるほど、溜飲が下がるとはこのことか。これがスティーブン・キングなのか。佐吉、暫し言葉を失う(ちょっと演出あり)。

 全七部構成のこの壮大なダーク・ファンタジー。やや退屈なプロローグとしての第I巻を終え、事実上の本編が始まったばかりだというのに、すでにエンターテインメントの要素がてんこ盛り。この巻では、物語はまだまったくと云っていいほど動いておらず、ただ旅の仲間が集められただけ。それなのに、である。ということは、この先、もっと思いも寄らない仕掛けが、まだまだたくさん用意されているということなのか?キングはこの作品で、一人エンターテインメント万博でもやるつもりなのか?彼の頭の中はドラえもんの四次元ポケットか?そうか!だから「どこでもドア」なのか! (◎。◎ b (違)

 全編に濃密に漂う饐(す)えたようなB級の匂い。同時に、鼻腔を微かにくすぐる「トンデモ」の香り。しかし読者にそんなものにツッコんでいる暇さえ与えない(とは云え、「ペ○○○○強盗」にはまいった)、目も眩むようなドライブ感。そのいずれもが、佐吉をこの作品に惹きつけてやまない。佐吉にとってはこの『ダーク・タワー』が初めて読むキング作品なのだが、これがいわゆるキング節って奴なのだろうか?

 様々な場面で、他のいろいろな映画やアニメや特撮モノのシーンが連想される。それは、キングが視覚的な作家であるというのと同時に、それだけ多くの作品によって彼の作品が模倣されてきたということなのかもしれない。あるいは、それだけ多くの作品に彼が影響を与えてきたということなのかもしれない(……って、素人の考えることだから違ってるかもしれないけど)。だが少なくとも、この作品に実に多くのエンターテインメントの要素が盛り込まれていることは、佐吉にもわかる。

 歌舞伎がありとあらゆる舞台演出を生み出してきたように、きっとキングはこの作品で、ありとあらゆるエンターテインメントのギミックを、我々に見せてくれるに違いない。佐吉はそんなふうに期待している。もちろん次の第III巻『荒地』は、すでに佐吉の手元にある。こいつのカバーもいい。特撮戦隊ヒーローものにでも出てきそうなギミックだ。ああ、そしてまた週末がやってくる。きっと今週もまた、書きかけのレビューはアップできないだろうなあ……(マテ)。

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