2006年06月08日

リンボウ先生の文章術教室 / 林望 [読書日記]

リンボウ先生の文章術教室リンボウ先生の文章術教室
林望

文庫本, 小学館, 2006/05/11

 林望、通称リンボウ先生の『リンボウ先生の文章術教室』を読む。これは、2002年に単行本で刊行された『文章術の千本ノック』(本人によるとあまり売れなかったそうだ)を加筆、改題して文庫化したものである。

 文章読本、あるいはそれに類する書籍は、これまでにも数多く出版されている。谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、丸谷才一、井上ひさし…といった名だたる文豪や名文筆家によって書かれたものから、ハウツー本に毛が生えたようなものまで、実にさまざまである。

 実を云うと、佐吉もかつてそうした(文豪たちの)文章読本を何冊か読んだことがある。10年くらい前の話だ(ただし当時、佐吉には文章を書く機会などほとんどなく、なぜそれらを読もうと思ったのか、今ではまったく思い出せない)。しかし結局、佐吉にとってそれらが猫に小判だったことは、ご覧のとおりである。

 そんな佐吉だったが、このブログを始めてからというもの、自分の文章の下手さ加減をあらためて意識させられ、また何か文章術の本でも読んでみようかと思ったことが何度かあった。しかし、書店にずらりと並んでいるそうした本のうち、どれを読んだら良いのか見当がつかなかったし、また、たまたま読んだ一冊を金科玉条のように思い込んでしまうのもこわかったので、それらを読むことをなんとなく敬遠していた。

 そんな矢先に書店でこの本が平積みされているのを見かけたのだった。林望については、初期のエッセイ何冊かを読んで面白いと感じていたし、単行本の『文章術の千本ノック』も、以前に書店で立ち読みしたことがあった。そのときには買って読もうとまでは思わなかったが、文庫本になって値段も安くなり、多少なりとも加筆があるというので、これなら軽い気持ちで読んでみてもいいかなと思い、買ってみた、というわけである。

 中身はカルチャーセンターや大学で行った講義を再現したもので、前半が講義録、後半が生徒の書いた文章の添削例と講評になっている。加えて『リンボウ式コンピュータ文章術』という章があり、そこでパソコンで文章を作成することの、手書きに対する利点を説明しているが、これはまあ、すでにそうすることが当たり前になっている人にとってはご愛嬌。

 佐吉は必ずしも彼を信奉しているわけではないのだが、読んでみると、なるほど、身に詰まされるところが多い。「具体的であれ!」、「客観的であれ!」、「よけいなことは書くな!」、「文字をケチれ!」、「説明するのでなく描写しろ!」……。

 どれも耳の痛い話だ。読み終えた直後、我が身を省みて、このブログの記事をすべて書き直したいとさえ思ってしまった(さすがに実行はしなかったが)。プロの作家を目指している方にはどうか知らないが、少なくとも、ブログやSNSなどで日々日記やエッセイなどを書かれている方には、何かしら参考になるところがあるんじゃないかと思う。

 ただし難を云えば、全体に、語り口がかなり高慢なのが気になる。なので、そうした口調が癇に障るという方は、それと覚悟して読んだ方が良いだろう。もっとも、自分の学生時代を振り返ってみれば、大学での講義とは概ねそんな感じだったような気もするから、それをかえってリアルで良いと感じる向きもあるかもしれない。教える側にしてみれば、「最近の学生はちっとも勉強しない!」、「こんなに何度も教えているのにどうしてわからないんだ!」という不満が鬱積し、それが言葉の端々に表れてしまうのは、職業病のようなものなのだろう。あるいはその辺が「先生」の「先生」たる所以なのかもしれない。

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