2007年06月13日

ポートレイト−内なる静寂 / アンリ・カルティエ=ブレッソン [読書日記]

ポートレイト−内なる静寂ポートレイト−内なる静寂
アンリ・カルティエ=ブレッソン / Henri Cartier-Bresson

大型本, 岩波書店, 2006/10

 ふふふ、今日の読書日記はちょっと自慢げである。

 昨年10月、岩波書店から、アンリ・カルティエ=ブレッソン『ポートレイト−内なる静寂』という写真集が刊行された。

 アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004)は、世界のフォト・ジャーナリズムに最も大きな影響を与えたと云われる、20世紀を代表する写真家であり、「世界最高の写真家集団」、かのマグナム・フォト(Magnum Photos)の創設者の一人でもある。カルティエ=ブレッソンは、35mmレンジファインダーを使ってのスナップショットを得意とし、またポートレート(人物写真)でも数多くの傑作を遺した。『内なる静寂』は、彼が50年以上に渡って、それぞれの時代の顔とも云うべき著名人や、際立って印象的な市井の人々を撮影した、ポートレートの傑作集である。続きを読む
2007年04月22日

裁判官の爆笑お言葉集 / 長嶺超輝 [読書日記]

裁判官の爆笑お言葉集裁判官の爆笑お言葉集
長嶺超輝

新書, 幻冬舎, 2007/03

 前回の記事に続いて裁判ネタの本をもう1冊。こちらは新書で、長嶺超輝の『裁判官の爆笑お言葉集』。売れているらしく、佐吉がいつも立ち寄るS新都心のK書店では、入口近くのワゴンに大量に平積みされていた。

 広い意味ではいずれも裁判の傍聴記なのだが、先の記事で体験記のようだと評した『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』とは対照的に、こちらは、裁判における裁判官の印象的な一言を切り取り、それぞれにコラム形式の解説を加えた裁判官語録集である。裁判官に焦点を絞り、彼らの裁量や、判決文には表せない正直な心情を、それぞれの発言に集約させたものである。続きを読む
2006年08月31日

和泉式部 人と文学 / 武田早苗 [読書日記]

和泉式部 人と文学和泉式部 人と文学
武田早苗

単行本, 勉誠出版, 2006/07

 冥きより冥き道にぞ入りぬべき遥かに照らせ山の端の月

 黒髪の乱れも知らずうち臥せばまづかきやりし人ぞ恋しき

 とどめおきて誰をあはれと思ひけん子はまさるらん子はまさりけり

 狂おしいまでの恋の哀歓や、この世の無常、あるいは己が内なる心の闇を直截に詠んだ和泉式部の歌は、千年の時を経てなお読む者の魂を激しく揺さぶる。現代においても彼女の歌に惹かれる人は決して少なくない。稀代の大歌人、いや、日本文学史上最高と云っていいだろうこの歌人について、松岡正剛はこんなふうに語っている。
 こんな歌人はざらにはいない。わかりやすく一言でいえば、与謝野晶子は和泉式部なのだ。(中略)晶子ばかりではない。樋口一葉も山川登美子も、生方たつゑも円地文子も馬場あき子も、和泉式部だった。きっと岡本かの子も瀬戸内寂聴も俵万智も、ユーミンも中島みゆきも椎名林檎も、“その後の和泉式部”なのである。恋を歌った日本人の女性で和泉式部を詠嘆できない者がいるとはぼくには思えない。
 『和泉式部 人と文学』を読む。勉誠出版の『日本の作家100人』という評伝のシリーズの一冊である。続きを読む
2006年08月20日

福田和也の「文章教室」 / 福田和也 [読書日記]

福田和也の「文章教室」福田和也の「文章教室」
福田和也

単行本, 講談社, 2006/08/01

 『福田和也の「文章教室」』を読む。当初はその書評を書くつもりでいたのだが、佐吉は彼の著作に関しては『作家の値うち』ただ一冊しか読んでおらず、この多才・多作な文芸評論家の著書を語るには、あまりにも予備知識が少ない。なので、書評については他日を期すことにして、今回は書評ではなく読書日記、つまり主観的な感想文として、佐吉の感じたところを話すことにした。

 さて、この本は、「読む力」、「書く力」、「調べる力」の三つの章から成っている。福田自身、『これまで谷崎潤一郎、川端康成といった文豪のものをはじめとして、文章読本を名乗る本はたくさん出ていますが、「調べる」ことを大きな柱にしている本は、私の知るかぎりないと思います』と語っているとおり、いわゆる文章読本としては、「読む」こと、「書く」ことに加え、「調べる」ことを論じている点において異色である。続きを読む
2006年06月08日

リンボウ先生の文章術教室 / 林望 [読書日記]

リンボウ先生の文章術教室リンボウ先生の文章術教室
林望

文庫本, 小学館, 2006/05/11

 林望、通称リンボウ先生の『リンボウ先生の文章術教室』を読む。これは、2002年に単行本で刊行された『文章術の千本ノック』(本人によるとあまり売れなかったそうだ)を加筆、改題して文庫化したものである。

 文章読本、あるいはそれに類する書籍は、これまでにも数多く出版されている。谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、丸谷才一、井上ひさし…といった名だたる文豪や名文筆家によって書かれたものから、ハウツー本に毛が生えたようなものまで、実にさまざまである。

 実を云うと、佐吉もかつてそうした(文豪たちの)文章読本を何冊か読んだことがある。10年くらい前の話だ(ただし当時、佐吉には文章を書く機会などほとんどなく、なぜそれらを読もうと思ったのか、今ではまったく思い出せない)。しかし結局、佐吉にとってそれらが猫に小判だったことは、ご覧のとおりである。続きを読む
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