2008年04月11日

「書評の鉄人」に選出されました! [雑記帖]

世界は「使われなかった人生」であふれてる世界は「使われなかった人生」であふれてる
沢木耕太郎
文庫本, 幻冬舎, 2007/04

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 タイトルにもあるとおり、このたび佐吉は、オンライン書店ビーケーワン(以下、bk1)の「書評の鉄人」に選出されました! ヽ(^▽^ ノ ワーイ

 もっとも、いきなりそんなことを云われても、何のことかさっぱりわからないという方もいらっしゃるでしょうから、まずはひと通り事情をご説明 (ゝ_∂ b

 bk1 には、Amazon のカスタマーレビューと同様、ユーザーが書評を投稿できるシステムがある。そしてさらにサイト内に「書評ポータル」というページがあって、毎週金曜に更新されるそのページで、「今週のオススメ書評」10本をはじめ、その週に投稿された書評のうちからユニークなものをいくつか紹介している。続きを読む


Posted at 21:57 | Comment(6) | TrackBack(0) | 雑記帖
2008年04月07日

納棺夫日記 増補改訂版 / 青木新門 [書評]

納棺夫日記 増補改訂版納棺夫日記 増補改訂版
青木新門
文庫本, 文藝春秋, 1996/07

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 本書は、富山県で葬儀社に勤め、遺体を拭き清め棺に納める仕事に就いていた著者が、その「納棺夫」としての日々と、それを通して思い巡らせた生と死についての哲学的論考を、澄明かつ力強い文章で綴った一冊である。本編は3つの章から成っており、もともと地方出版社から刊行されたものを文庫化した本書には、それに加えて「『納棺夫日記』を著して」という後日談が収められている。

 著者の青木新門はかつて、東京の大学を中退し、故郷の富山でスナックを経営するかたわら詩や小説を書いていた。その頃たまたま店に立ち寄った作家の吉村昭に見出され、彼が編集委員を務める同人誌に小説を発表し、評判を得たこともあった。しかし、ならばと色気を出して書いた2作目以降は惨憺たる出来で作家になる目処は立たず、やがて経営していたスナックも倒産する。借金に追われ、夫婦喧嘩が絶えなくなり、それでもなお原稿用紙に向かい続ける夫に、生まれたばかりの娘のドライミルクを買う金もないと、妻は新聞を投げつける。床に落ちたその新聞にあった求人広告が、著者が「納棺夫」となるきっかけだった。どんな仕事なのかもわからぬまま、青木はその求人に応募した。続きを読む


2008年03月28日

自分の体で実験したい-命がけの科学者列伝 / レスリー・デンディ他 [書評]

自分の体で実験したい−命がけの科学者列伝自分の体で実験したい−命がけの科学者列伝
レスリー・デンディ, メル・ボーリング, 梶山あゆみ
単行本, 紀伊國屋書店, 2007/02

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 あるいはカバー(ジャケット)のイラストから、自作の翼で空を飛べると信じ、高い崖や塔の上から飛び降りたタワージャンパーたちのように、自説を過信するあまり無謀な実験を試みたトンデモ科学者の話かと思う人もあるかもしれない。が、そうではない。本書は、ときに自らの生命にさえかかわる危険な実験に挑むことによって、新たな知見を拓いた科学者たちの逸話を綴った、いたって真面目な科学系の読み物である。原題は “Guinea Pig Scientists(モルモット科学者たち)”。もともとは青少年向けに書かれたもので、2006年に全米科学教師会主催の「優れた子ども向け一般科学書に贈られる賞」を受賞している。

 本書には、18世紀から現代にかけて、文字どおり自分の身体で実験をした科学者たちのエピソード10例が紹介されている。人間はどれだけの高温に耐えられるかを探ろうと、100度を超える室内に身を置いたジョージ・フォーダイス。消化の仕組みを調べるため、食物を入れた亜麻布の袋や木の筒を次々に飲み込んだラザロ・スパランツァーニ。ペルーいぼ病の謎を解明すべく、自ら病原菌に感染したダニエル・カリオン……。続きを読む


2008年03月20日

翻訳家の仕事 / 岩波書店編集部編 [書評]

翻訳家の仕事翻訳家の仕事
岩波書店編集部編
新書, 岩波書店, 2006/12

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 翻訳とは、考えれば考えるほどわけのわからない行為である。ある言語で書かれたことがらを、完全に他の言語に置き換えることは原理的にできない。なのに翻訳家たちは、そんなことは百も承知で、原著と限りなく等価に近い相似物を創ろうと、訳語一つに呻吟する。いったい翻訳の何が彼らを惹きつけるのか。そもそも翻訳とはどういうことなのか。単純に答えの出せる質問ではないだろうが、本書はそんなつかみどころのない問いに対し、いくつかの手がかりを与えてくれる。

 本書は、岩波書店の雑誌『図書』に連載された「だから翻訳はおもしろい」をまとめたエッセイ集である。現役の翻訳家37人が、翻訳の魅力や苦悩や愉悦をありのままに語っている。高尚な比較文化論を展開する人、自らの来し方を振り返る人、翻訳にまつわる軽妙なエピソードを紹介する人、語り口は十人十色である。

 もっとも、雑誌連載時のタイトルとは裏腹に、翻訳が楽しくて仕方がないという人はほとんどいない。多くの翻訳家が、むしろその作業の難しさやもどかしさ、苛立ちや焦りを口にする。続きを読む


2008年03月16日

恥辱 / カーリン・アルヴテーゲン [書評]

恥辱恥辱
カーリン・アルヴテーゲン, Karin Alvtegen, 柳沢由実子
文庫本, 小学館, 2007/11/06

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 カーリン・アルヴテーゲンは、スウェーデン南部の小さな町に生まれ、ともに教師を務める両親のもと、常に文学が身近にあり、家族の誰もがものを書くという、知的で穏やかな家庭に育ったという。大叔母に『長靴下のピッピ』で知られるアストリッド・リンドグレーンがいて、その国民的児童文学作家の影響を強く受けたとも本人は語っている。しかし、そんな幸福な少女時代とは裏腹に、彼女が創作を始めたのは実に悲痛な動機からだった。

 きっかけは仲の良かった兄の事故死だった。折しも第二子の臨月を迎えていた彼女は、その悲しみをきちんと受け止めることができないまま出産と育児に忙殺され、さらに離婚を経験して、深刻な鬱状態に陥り、療養生活を余儀なくされる。そしてその心の痛みを真正面から見つめるため、つまり一種の心理療法として、文章を書き始めたのだという。

 デビュー作『罪』で注目を集め、二作目の『喪失』でグラス・キー賞(ベスト北欧推理小説賞)を受賞したアルヴテーゲンは、一躍「北欧ミステリー界の女王」と称されるようになる。しかし彼女の作品の魅力は、謎解きの妙よりむしろ、心の歯車が狂い、絶望と狂気の淵に追い詰められた人間の内奥の描き方にある。続きを読む



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